モロッコ、先住民ベルベルの平織キリム、幾何学モチーフと僅かに異なる色の横帯で装飾【お歳暮】

モロッコ西部、マラケシュで20年ほど前に入手、先住遊牧民ベルベルの平織敷物で、薄茶や白い茶など、わずかに異なる色と横帯装飾の北アフリカ特有のキリムです。絹糸の横糸を厚めに羊毛の経糸に織り込むか刺繍し、わずかに浮き出たモチーフが施されています。
　トルコ・キリムに見られる多産を意味する「腰に手」など、複雑なモチーフと対照的に、北アフリカ・キリムは、幾何学モチーフを用います。三角形、菱形などは、災難をもたらす邪視からの保護モチーフとされ、三角は、邪視を引き寄せ反撃し、十字は、東西南北と上下に四散させるとされます。
　9つの横帯では、フリンジを除き、一番上に約15㌢幅で薄茶の帯があり、外側枠を描く、白の3本線（縦側では浮き出た）と浮き出た白のジグザクが飾ります（4,7枚め）。ジグザグ（矢）は、光やエネルギーの流れ、多産のモチーフとされます。2つめ、半分巾で白茶の帯には、長方形の中に小菱形を含む、浮き出た菱形が4つ見られます。
　3つめ、太めの薄茶でモチーフなしの帯には、平織の薄い青線が見られます。4つめ、半分巾の白茶帯が少し青を帯びて細めに再現され、ここでも長方形の中に菱形が4つ見られます。敷物の裏を見ますと、横糸の青白糸が、菱形モチーフの織り方を示します（3,8,9枚め）。
　5つめ、最も広幅の薄茶帯（46㌢ほど）では、上下に、裏側で確認でき新たな白緑と白茶2色の細帯が引かれ、中央に足（線）つき菱形の内に、十字（田）つきで小菱形で2重菱形が描かれ、この5つが十字に置かれ大きな十字菱形（隙間を含め9つ）が3つ施されます（10枚め）。中央に青白枠取の大きな十字菱形の、特別モチーフが見られます。2重菱形も、邪視からの保護を意味し、力のシンボル、絶滅した「バーバリ・ライオンの爪」に類似します。
　左右に8本四角（歯）が出た青白の長方形は敷物用櫛と見え、幸運をもたらす織台に紛れ込む邪視の保護モチーフです。
　中央帯から下の帯は、上の帯とモチーフを対照的に織り仕上げています。上より狭い帯に適宜変え、また、経糸2本を横糸で編み少し光る部分が、隠れた装飾となっています。なお、表と裏に見られる色合いの相違は、多分、経年変化に拠りますが、表の方が落ち着いて見えます。撮影事情で若干の色相違などを画像でご確認ください。
サイズ　横　約91㌢　縦　約45㌢フリンジ別　厚さ　約2㍉

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